単に石積みといっても、その種類は無数に存在します。その中でも、一般住宅で行うエクステリア工事で人気の石積みの種類を紹介します。
石の積み方で見栄えが大きく変わるため、使い方次第で周りの家の外観に大きな差をつけることが可能です。

石積みは塀としても見栄えがありますが、土留め(土が崩れようとするのを防ぐこと)として採用しても風格があります。また、自然石を使用することで、温かみのある外観になるのも魅力の一つです。 石積みには「練積み(ねりづみ)」と「空積み(からづみ)」という施工方法があります。

練積みとは、目地(石と石の隙間)にモルタル(砂とセメンとを水で混ぜたもの)を入れたり裏込め(石の裏に砕石やコンクリートを流し込むこと)をしたりする石積みのことです。安定度が高いため、5m程度の高さまで積むことができます。 ただ、雨水などが染み込んで土圧が増大しても崩れないようにするために、水抜きパイプを設ける必要があります。

一方、空積みとは、石と石を噛み合わせて積んでいくものであり、セメントなどの接着剤は一切使用しません。裏込めにもコンクリートやモルタルを使用せず、砕石や割栗石(わりぐりいし:岩石を砕いた大粒の石)を用いて石を積み上げます。

練済みに比べて強度が弱いため、建築基準法で高さは2m以上の積み上げは禁止されています。

練積み
空積み

石積みの種類

崩れ積み

まず、石積みの王道は「崩れ積み」です。石積みの中でも古くから行われてきた伝統的な積み方です。
造園業に携わる方であれば、誰もが一度は目にしたことがある施工方法です。

石を規則正しく積み上げるのではなく、崩れてきた岩が積み重なるように並べられるのが崩れ積みです。 大ぶりな自然石を使用して、あえて崩れかかったように積み上げることで迫力のある外観を演出できます。ただ、崩れ積みは空積み工法のため、2m以上の高さに施工することができません。

そこでお勧めなのは、「道路から一段高くなっている場所の土留めに崩れ積みを採用する」ことです。これにより、風情のある外観を造り出せます。

小端積み

小端積み(こばづみ)とは、鉄平石(てっぺいせき:3cm程度の厚さに平たく割れる性質を持った石材)やレンガなどを用い、これらの側面を見せて積み上げる施工方法です。

オシャレな見栄えを演出できる代わりに、土圧(土が崩れようとする圧力)などの外部からの力には弱いです。そのため、擁壁(コンクリートの壁)などを前面に積み重ねることがあります。

ただ、材料と手間がかかる石積みなので、工事費用は崩れ積みなどに比べて高額になります。

野面石積み

野面石積み(のづらいしづみ)とは、自然石の平らな面を表面に揃えて積む工法です。

このような積み方を「乱済み(みだれづみ:石材の大きさや形が不揃いの石を使った石積み)」ともいいます。さらに、石の平らな面を表に出しているので、野面積みと呼ばれるのです。

一つの石に対して接している石が荷重を分散してくれるため、安定します。見栄えも良いため、右の写真のように土留めや塀として採用する方は多いです。

間知石積み

間知石積み(けんちいしづみ)とは、間知石と呼ばれる石を用いた石積みのことです。石積みの中では、最も土留め工事に適している工法です。

一つの石が6つの石に接しているため、大きな圧力がかかっても力を均等に分散する能力があります。ただし、間知石積みは練積みが基本のため、水抜きを設ける必要があります。

間知石積みの種類は、石を斜めに並べる「谷積み」と水平に揃える「布積み(ぬのづみ)」があります。目地が横に通っている布積みの場合、外部からの圧力が横目地に直接かかってしまうため、谷積みのほうが土留めに適しています。

土留めとして利用したり塀に高さがあったりする場合、谷積みによる間知積みを採用することをお勧めします。

切石積み

切石積み(きりいしづみ 切石積みとは、正方形や長方形に切り出した石を使用した石積みのことを指します。積む際は練積みが一般的なため、土留めに向いた石積といえます。

ただ、加工に手間がかかるため、工事費用は必然的に高額になります。切石積みは江戸城をはじめとした日本全国の城で採用されており、民に権威を示す象徴とされていました。

亀甲積み

亀甲積み(きっこうづみ) 亀甲積みとは、間知石積みの一種でとされ、天然石を六角形に加工した石材を用いた石積みのことです。

間知石積み同様、石一つ一つが力を分散するため、土留めに適してします。ただ、間知石積みに比べて石の加工に手間がかかるため、多額の工事費用が必要になります。

石積みの中で「最も上品」だと言われています。また、高度な技術がなければ作り上げることができないため、施工できる業者自体が少ないです。